訣別のITゼネコン
こんにちは。
このブログを読んでいる方の多くはIT業界に身を置いている方であり、一度は「ITゼネコン」というワードを耳にしたことがあると思われます。
私はかれこれ約20年もの間、ITゼネコンという言葉に象徴される多重下請構造の中に身を置いてきた人間であり、末端の下請け企業にも先端のSIerにも在籍した経験があり、この商流構造に対する疑問と常に向き合ってきました。その疑問とは概ね以下のようなものです。
- ITスキルの低い元請けエンジニアが耳障りの良い空論で上流工程を担う(手戻り不可避)
- 上層は高い利益率を維持し、下層は利益の確保が困難(結果、下層は自分ファーストになりがち)
- 工程/スコープを一応区切るため、境界線上のテーマは無益な対立点となる(Waterfall型との親和性は高い)
- クライアント含め上層にナレッジが蓄積しないため、ベンダーロックインが発生
これらをシンプルな一言で表現するとしたら、それは「無駄」という言葉がよく当てはまるのではないでしょうか?2021年にメガバンクのシステム障害が立て続けに発生したことは記憶に新しいところです。クライアントが一次請け企業に原因を問い、一次請けは二次請けに、二次請けは三次請けにと、障害の原因も責任の所在もわからないまま迷走し、「それはウチのスコープじゃない」などと言ってなすりつけ合っている姿が目に浮かびます。
DX白書2023によると、現在、日本企業の8割以上がレガシーシステムを保有しているとのことです。保有しているだけで、レガシーへの依存率は間違いなく低減しているはずですが、実態はわかりません。このレガシー排除に拍車をかけるのが、クラウドとアジャイルに他なりません。AWSなりGCPなりを自社で運用すればいいわけですから、そもそもITに関して何かを外注する機会は減っていきます。レガシーが無くなれば、いわゆるITゼネコン=SIerに対して無駄な支出を増やしたあげく、ベンダーロックインに悩む必要などありませんから、いよいよ訣別の時は近づくことでしょう。
上述のことは、エンジニアという職種が無くなることを示唆しているのではなく、自社エンジニアによる自社運用という形態にシフトすることを意味しますので、現時点でレガシーシステムやゼネコン頼みになっているエンジニア各位は、今のうちにユーザー企業もしくは優位性のある自社プロダクトを保有するメーカーなどに転籍されることを強くお勧めします。
これまで私たちが当たり前のように受け入れ、目をつぶってきた「無駄」が少しでも減ることを切に願っております。
I.G
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