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Welcome to NOBODY Cares

衝撃的なタイトルの後にこのような挨拶をするもの憚られるのですが・・ あけましておめでとうございます。 前回に引き続き、素晴らしかった DMZ のスタートアップ向けセミナーからいくつかトピックをご紹介しながら、本年の抱負などをお伝えできればと思います。 衝撃的なタイトルに話を戻します。これはセミナーの最初のセッションの最初の10分で語られた「なぜスタートアップは失敗するのか?」の理由の一つです。 はい、そうなんです。誰もPITHIAS Technologiesのことなんて気にしてないのです。なぜなら約半数のスタートアップは2~5年で潰れますし、90%は時間と共に潰れる可能性が高くなりますから。 じゃあどうするのかというと、成功の確率を上げるか一刻も早く失敗するかでして、これをどうやるのかを4日間たっぷり学んできたのですが、皆さんご存じの通り一番大事なことは一番最初に学びます。それは・・ プロダクトではなく課題を愛せ そうなんです。これとっても重要なのです。どんなに素晴らしいテクノロジーを使って画期的なシステム作ってもニーズがなければ売れませんから。 弊社で開発しているSDMSは以下のような課題(お客様のPain Points)を対象にしています。 LIMS・SDMSに繋がらない分析機器を利用する品質試験で不正・誤謬が起こる可能性がある 不正・誤謬がないことを証明するための追加業務が必要になる 分析機器→LIMS、分析機器→SDMS→LIMSのシステム間連携に専門知識とコストが必要になる 仕入先の品質分析に不正がないと言い切れない そもそもSDMSは高価だ ではどうやって? ここで初めてテクノロジーのお話になるのです。 補助金に採択されたこと(補助金のルールで補助金対象期間中に開発したものを売ってはいけないというExcuse)もあり2024年は開発に注力してきましたが、DMZのセミナーを通してお客様のお話を伺う機会が少なかったことを猛省しました。 お客様のプロセス、システム利用状況は様々です。先に挙げた課題もお客様がどのようなプロダクトをどのように試験しているのか、LIMSやSDMSを運用しているか、どこまでデータ連携できているか、などによって課題の程度は変わってきます。 お客様の課題を伺うことを私の今年の OKR に組み込むことを宣言して、新年のブログに代えたいと思い...

雄弁は銀、沈黙は金?

 明けましておめでとうございます 本年もどうぞよろしくお願いいたします。 本年は弊社にとって飛躍の一年となりそうです。というのもSDMS開発はすこぶる順調に来ておりまして、現時点でおそらくみなさま驚愕されるレベルの技術水準に到達していると考えられます。乞うご期待! さて、タイトルにある「雄弁は銀、沈黙は金」という言葉ですが、トーマス・カーライルという歴史家が19世紀に広めたとされる格言であります。要は「発言をうまく自制しなさいよ」ということなのですが、この言葉をそのままストレートに受け取ると非常に危険です。 私はかつて後輩にこう言ったことがあります。 「沈黙は三流、言うだけなら二流、実現すれば一流」 日本人は文化的に、調和を乱さないように控えたり、忖度したり、あるいは察したり、といった風に「発言しないコミュニケーション」を取る民族であるため、仕事もさることながら、普段の友人同士の会話においてでさえ、自分の意見をしっかりと相手に伝えることができる人は本当に少ないと思われます。逆に言えば、これができている人が周囲にいるとしたら、その人はこの国において間違いなくレアな人物であり、さらにその発言がミスジャッジや悪意に基づかないものばかりで構成されているとしたら、その人とは付き合っていくべきです。 インターネットが世間一般で使用されるようになって約30年、国境などという概念は仕事/プライベートを問わずに雲散霧消している昨今、自分の意見を発しないことは非常に危険です。多くの海外勢にとってその行為が示すことは、「コミュニケーションが成立しない→この人とは仕事にならない」と受け取られるからです。 もう一つ、我々のようにクリエイティブな仕事をしている人間にとって、沈黙は「何も考えていない」という風に受け取られます。私たちが常に仲間に求め、求められているものはアイデアでありメソッドであるということを決して忘れてはいけません。それを自分の言葉で自分の考えとして示せなければ前進などないのです。 なので、私はかつてミーティングで一切の発言をせず、終わってからコソコソと文句ばかり言っている後輩に対して、前述の言葉を投げかけたわけです。多くの海外勢にとっては息をするかのように自然なことであっても、日本人にとって自分の意見を発することは自然なことではなく、勇気というガソリンが必要なことです...

スタートアップの特権

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 こんにちは。影浦です。 2024年12月10日から4日間、ジェトロ千葉、千葉市、千葉大学が主催し、 DMZ がリードしたセミナー「 千葉から世界へ― スタートアップ・グローバル展開プログラム2024 」に参加してきました。 この内容が素晴らしかった(サラリーマン時代を含めて今まで受けた研修の中でぶっちぎりでよかった)ので、本Blogで簡単にシェアします。 プログラムは以下のような内容で、特に素晴らしかったのはオンラインワークショップのPichingとBootcampでした。 オンラインワークショップ(各1時間) OKR Pitching Investment & Funding in North America オンラインメンタリング OKRとPichingについて各30分 Bootcamp Bootcampのタイムテーブルでお気づきと思いますが、オンラインワークショップ含めてすべて英語です。気分は海外MBAでした(笑) 最終日のDemo Dayで5分のPitchを(もちろん英語で!)しましたが、このセミナー前後のPitch Deckを比較すると、もう雲泥の差です!! そして何よりもすごいのはこれが無料だということです。 弊社がスタートアップらしいことを始めたのは去年からなので過去のことはあまりわかりませんが、このような無料セミナーに参加して初めて、日本のスタートアップを取り巻く環境が良くなっていることを実感しました。 もちろん、欲を言えばエストニアのように再投資するなら税金無料!みたいな制度が日本でもあるといいなと思ったりしますが、そのあたりは今後の政治家の皆さんに期待します。 ということで、今後このBlogでHPに掲載しきれていないPITHIAS Technologiesは何者なのか?を少しずつシェアしたいと思います。 こちらにDemo Dayの Pitch を公開しましたので、良かったらご覧になってください。 (一応お断りしておくと、北米のパートナー候補向けのPitchという体で資料作っています。講師のDr. Martinと相談して決めましたが、こんな前提作ってたのうちだけでした・・) ジェトロ千葉さん、千葉市さん、千葉大学さん、そしてDMZさん、本当にありがとうございました!

訣別のITゼネコン

こんにちは。 このブログを読んでいる方の多くはIT業界に身を置いている方であり、一度は「ITゼネコン」というワードを耳にしたことがあると思われます。 私はかれこれ約20年もの間、ITゼネコンという言葉に象徴される多重下請構造の中に身を置いてきた人間であり、末端の下請け企業にも先端のSIerにも在籍した経験があり、この商流構造に対する疑問と常に向き合ってきました。その疑問とは概ね以下のようなものです。 ITスキルの低い元請けエンジニアが耳障りの良い空論で上流工程を担う(手戻り不可避) 上層は高い利益率を維持し、下層は利益の確保が困難(結果、下層は自分ファーストになりがち) 工程/スコープを一応区切るため、境界線上のテーマは無益な対立点となる(Waterfall型との親和性は高い) クライアント含め上層にナレッジが蓄積しないため、ベンダーロックインが発生 これらをシンプルな一言で表現するとしたら、それは「無駄」という言葉がよく当てはまるのではないでしょうか?2021年にメガバンクのシステム障害が立て続けに発生したことは記憶に新しいところです。クライアントが一次請け企業に原因を問い、一次請けは二次請けに、二次請けは三次請けにと、障害の原因も責任の所在もわからないまま迷走し、「それはウチのスコープじゃない」などと言ってなすりつけ合っている姿が目に浮かびます。 DX白書2023によると、現在、日本企業の8割以上がレガシーシステムを保有しているとのことです。保有しているだけで、レガシーへの依存率は間違いなく低減しているはずですが、実態はわかりません。このレガシー排除に拍車をかけるのが、クラウドとアジャイルに他なりません。AWSなりGCPなりを自社で運用すればいいわけですから、そもそもITに関して何かを外注する機会は減っていきます。レガシーが無くなれば、いわゆるITゼネコン=SIerに対して無駄な支出を増やしたあげく、ベンダーロックインに悩む必要などありませんから、いよいよ訣別の時は近づくことでしょう。 上述のことは、エンジニアという職種が無くなることを示唆しているのではなく、自社エンジニアによる自社運用という形態にシフトすることを意味しますので、現時点でレガシーシステムやゼネコン頼みになっているエンジニア各位は、今のうちにユーザー企業もしくは優位性のある自社プロダクトを保有する...

「ミスを許容しない」というミス

こんにちは。みなさんは日本と海外の時価総額トップ10に入っている企業の顔ぶれを見比べてみたことはありますでしょうか?海外は直近25年以内に誕生した企業が上位を占めておりますが、なぜ日本では依然として"おじいちゃん企業"が元気なのかをいつも疑問に思っておりました。 減点方式=ミスを許容しない 幼少の頃より、我々に自然と刷り込まれている一つの価値観、それは「ミスは悪いこと」です。 赤点を取ると補習 成績が悪いと留年 試合でミスしたら2軍に降格 授業中に指されて答えられなければバカだと思われる みなさん少なからず上記に近いことを学校教育の場で経験していると思われます。つまり、私たちはミスをしてはいけないというマインドを幼少期から植え付けられて育ったがために、社会人になってもまるで呼吸をするかのように自然とミスを恐れています。 もちろん仕事や日常生活でのミスは顧客や身内からの信頼を大きく失墜させることもあり、ミスしないに越したことはありませんが、過剰にミスを恐れることで何か新しい一歩を踏み出す際の大きな足枷となってはいないでしょうか? 私は、日本から時代を牽引するようなスタートアップが生まれないのは、ミスに怯える日本人の中に、革新的なビジネスを成立させるためにチャレンジ&エラーを繰り返すような起業家精神など宿るわけがないからだと考えております。もっと言いましょう。所詮、私たちが受けてきた教育というのは、回答のある世界で公式やルール、テクニックに当てはめてさえいれば回答に到達することができ、そのミスをしない訓練をしてきただけなのです。 根本原因は学校教育にある これが結論です。では明るい未来が無いのかというと、そうではありません。物事の考え方や価値観といったものは、変えることができるからです。私自身、クリエイティブな仕事を通じてトライ&エラーを繰り返す中で、多くのケイパビリティ/マインドセットを獲得し、イノベーションに対するある種の使命感のようなものも同時に芽生えております。 I.G

ソフトウェア開発をUnlockする

 こんにちは。 この度 PITHIAS Technologies は Blog を始めました。 CTO から最初の Author に指名されたので、人生初の Blog にトライします。 テーマを何にしようか悩んでいたのですが、たまたま面白い 記事 を読んだので生産性について考えてみたいと思います。   この記事では日本の社員の恐らく 70 %程度は給与をもらうことだけを目的として出世も積極的な仕事も望んでいないこと、その原因が新卒一括採用、年功序列、終身雇用などにあることが指摘されています。 注目したいのは 1 ページ目にある「日米の産業別生産性と付加価値シェア」という表です。「情報通信」という言葉が 2 つあるので Confusing ですが、上から 4 つ目(比較的生産性が高い)は機器製造なので、弊社が所属する情報通信業は下から 3 つ目と考えられ、アメリカに比較して 13.9% しか生産性がないとされています。   記事の中で指摘されている原因(年功序列など)は、程度の大小こそあれ特に産業に固有ものではないので、我が国の情報通信業はほかの産業に比べて生産性が低い、何か特有の事情がありそうです。   結論を言ってしまうと、特有の事情は受託開発、多重請負、言語バリアだと思います。   順番に見ていきましょう。 ・受託開発 生産性は、作ったソフトウェア(情報通信機器はHW、情報通信業はSWと整理します)がどれだけ価値を発揮するか、と言い換えられます。日本のソフトウェア投資の内訳はパッケージ 11.7% 、受託開発 88.3% だそうです。当然ながら受託開発ソフトウェアは発注したお客様だけのもので、その活躍の場は限られてしまいます。   ・多重請負 日本の商習慣で、信用度の低い中小企業に仕事を発注しない、という不思議なルールがあります(本来 Account Payable に信用なんて不要です)。その結果、ご存じの通り多重請負が発生します。 どういう理屈かわかりませんが元請け・一次請けなどの会社は中抜きをしますので、末端のエンジニアが受け取る報酬は、発注者が支払う金額の半額以下になることがほとんどです。実際に働くエンジニアが発揮できる Valu...